水虎(すいこ)
水虎(すいこ)は、中国や日本の水の妖怪。日本と中国では妖怪像がまったく異なる。
中国の古書『本草綱目』に記されている、湖北省の川にいたという妖怪[1]。外観は3,4歳の児童のようで、体は矢も通さないほどの硬さの鱗に覆われている[2]。普段は水中に潜っており、虎の爪に似た膝頭だけを水上に浮かべている。
普段はおとなしいが[1]、悪戯をしかけるような子供には噛みつき返す[2]。この水虎を生け捕りにすることができれば、鼻をつまむことで使い走りにすることができるという[2]。
鳥山石燕も『今昔画図続百鬼』でこの記述を引用しており、水虎の鱗をセンザンコウにたとえて表現している。
日本の水虎
日本には本来、中国の水虎に相当する妖怪はいないが[2]、中国の水虎が日本に伝えられた際、日本の著名な水の妖怪である河童と混同され、日本独自の水虎像が作り上げられている[1]。
日本では水虎は河童によく似た妖怪[1]、もしくは河童の一種とされ[4]、河童同様に川、湖、海などの水辺に住んでいるとされる[4][5]。体は河童よりも大柄かつ獰猛で[4]、人の命を奪う点から、河童よりずっと恐ろしい存在とされる[1]。
長崎県では年に一度、人間を水中に引き込んで生き血を吸い、霊魂を食べて死体にして返すという[1]。青森県では子供ばかりを襲い、水遊びをしている子供を水中に引き込み、命を奪うという[1]。琵琶湖付近や九州の筑後川付近では、水虎が夜更けに悪戯で人家の戸を叩いたり、人に憑くこともあるという。
水虎が人間を襲う理由は、水虎が龍宮の眷属であり、自分の名誉を上げるためとされる[1]。また水虎は48匹の河童の親分であり、河童が人間に悪事を働くのも自分の地位を水虎に上げてもらうためとされる。
撃退する方法として、水虎に血を吸われた人間の遺体を葬らずに、畑の中に草庵(草で作った簡易な小屋)を作り、その中に遺体を板に乗せて置いておくという方法がある。このようにすると、この人間の血を吸った水虎は草庵の周囲をぐるぐる回り始め、遺体が腐敗するに従い、水虎の肉体も腐敗するとされる。水虎は身を隠す術を使うため、姿を見せずに声が聞こえるのみだが、水虎の体が腐りきって死に至ると、ようやく姿を現すのだという[4]。
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また、水虎を避ける方法として、家に鎌を立てかけておく、麻殻や大角豆を家の外に撒くなどの方法もある。
地方によっては水虎は河童の別名のような感覚で用いられており、水虎を捕獲したという記録が、河童状の絵とともに残されている事例もある